【MUKASA-HUB 法人会員連載Vol.2インタビューコラム 株式会社AVC放送開発 取締役 経営企画室室長大田幸寿氏】

AVC放送開発という社名を聞いたことがある県民は多いのではないかと想像する。

イメージは“放送関係全般を担っている会社”という感じ。

今日は何をしている会社なのか、とことん質問をしてみよう。

そんなことを考えながら、青島に繋がるバイパス道路沿いに建つ本社へと向かった。

 

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 ー貴社の概要をお教えください。

 弊社は1973年に現社長が設立しました。設立当初はデパートのアナウンステープの製作や、電光掲示板の製作などを主にしていたようです。その後関連する事業として、多岐にわたる分野のクリエイティブ製作を展開しています。ご存知いただいているかもしれませんが、イベントの企画運営・それに伴う音響照明などをオペレートしています。また最近ではテレビ・ラジオの広告代理店業務もさせて頂いております。

 

ー広告代理店は最近なんですね。意外でした。

  そうですね、最近と言っても10年ほど前のことではありますが。テレビCMや番組、ラジオ、プロモーションビデオの制作等をさせていただいています。

 

ー今一番力を入れているプロジェクトをお教えいただけますか?

  私はこの会社に入社して10年になるのですが、もともと地元のIT企業で働いていたので、ITが専門分野でした。その分野に関してはこれまで1人で細々とやっていたのですが、技術を連携させられるような業務を少しずつ作って、一昨年から、システム開発課という部署を立ち上げることができました。

現在は専門のスタッフに入ってもらって、音響映像機器の制御システムや関連する様々なシステムを開発しています。

 

ー例えばどういったシステムですか?

 私たちのお客様は、コンシューマー(消費者)というよりは企業や団体が多いです。いわゆるBtoBですね。

例えば、宮崎大学の視聴覚室です。大学の視聴覚室には、たくさんの映像機器や音響機器があります。操作も意外と分かりづらいですし、それぞれのリモコンを使って操作しなければいけません。その煩わしさを解消する為に、ワンタッチですべての機器を操作できるシステムを作りました。

また別の例を挙げると、ホテル内のレストランホール向けのシステムも開発しました。パーティーの際に、例えばお酒や料理を出すタイミングっていうのは、なかなか掴めないという声があって。

そこで、お客様が入るパーティー会場にカメラを、それに連動したモニターを厨房に設置、何箇所かあるカメラを、厨房から切り替えて見られるようにすることで、料理やドリンクをサーブするタイミングがより正確に測れるようになりました。

そういったシステムは、従来だと操作自体が難しいというハードルがありましたが、今回はその点もクリアするため、画面をタッチするだけで誰でも簡単に操作できるように作りました。

 

”笑顔を作る”をしっかりマネタイズする

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ー先ほどお客様の笑顔に繋がることが一番だという風におっしゃっていただいたのですが、地域創生といったところを意識して取り組まれているところはありますか?

 私たちは”笑顔を作ることを、お金に変える”ということを事業化してます。地域の方々の、感性に訴えるようなものを活発に展開していくことによって、またはそういったイベントのお手伝いをすることによって、まちに活気を取り戻していく。そういった側面から、地域貢献に繋がっていけばいいなと思っております。

 

 ー現在の課題はなんですか?

 ある程度歴史もあり、組織が大きくなると、次第に新しい流れについていけなくなってしまっていることも事実です。例えばSNSなどの、比較的新しいコンテンツの活用は、現在では必要不可欠なノウハウです。

これからなんとかして追随して、さらに弊社が持っている今まで築き上げてきた信用や経験を活かして、より相乗効果があるような形に持って行きたいなと思っています。

 

ー今後どういった改善策を考えられていますか?

 以前、弊社のスタッフがMUKASA-HUBのイベントに参加させていただいたことがありました。帰って来てからも”非常に面白かった”と言っていて。地方にいると、新しい情報や感覚に触れる機会がなかなかありません。私たちは仕事内容が仕事内容ですので、感性に訴え続けるものを作り続ける為には、やはり外部の情報を取り入れていく必要があります。いい刺激になるようなイベントやコンテンツが地元に増えていくと、すごく嬉しいですよね。そういったところからたくさんのアイディアが生まれるのではと思います。MUKASA-HUBには東京や、ゆくゆくは海外からもゲストを呼んで、面白いイベントをやっていってもらいたいですね。

 

 

私たちは基本的に、消費者の方と直接やりとりをすることはありませんし、行政や企業から依頼を受けて企画をすることがほとんどです。しかし、そのイベントに実際に来場するのは一般のお客様です。私たちは常にそこを意識して取り組んでいます。ただ、楽しませ方が昔とは違ってきている。今まで、映像といえばテレビしかありませんでしたが、今ではネットだったり、見せ方にも色々な方法があります。旧来のテレビでやっていた手法だけでは通用しなくなってきているので、そういったところではむしろ、MUKASA-HUBを利用されているような、若手ベンチャー方々の方が、研ぎ澄まされている側面もあるかと思います。これから地域の同業者や異業種の方との交流で、アイディアを生み出していけることに期待しています。

 

技術者の横軸を繋ぐハブになって欲しい

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—AVC放送開発さんは宮崎で、クリエイティブな部分でのコミュニティを作れている数少ない企業かと思います。

 そうですね。一時期はWEB上で放送局のような役割をできないかと考えた時期もありました。ですが、WEBの業界は、地域に制約されず、目的毎に細分化されている。自身が媒体になるのではなく、そこに向けてコンテンツを作り、そして買っていただく。その企業のお客様に対して満足していただけるものを生み出していく。そういった分野にこれから取り組んで行かなければと思います。そこにうちだけではなくて、新しい感性を持っているベンチャーや若手の方達と共に取り組んで行けることが理想かな、と。

以前であればITはIT、映像は映像と、まったく違う分野の仕事として細分化されていました。現在ではそれら全て連携させて一つの商品です。お客様のニーズもさらに複雑化していきます。MUKASA-HUBには、名前にあるように、そういった企業間でのHUBになっていただければと、期待しています。

 

 

前例にとらわれず、面白いと思うものを

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—最後に、WEB IT業界を志している宮崎の若者に何かメッセージをお願いします。

 先人にとらわれず、自分が面白いと思うことをやって欲しいと思います。私がそんなことを言うのは、おこがましいかもしれませんが(笑)日本のITやメディア業界を見ていてつくづく思うのは、海外での成功事例に追随しようとして似たようなものを作って失敗する、というフローを繰り返しているということ。前例にとらわれず、自分が「こんなものがあったら面白いな」と思うものを作って行けるようになると、日本のIT業界も活発になっていくのではないかと思っています。 

 

photo by ワタナベカズヒコ

written by 倉本亜里沙